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オランダ、ベルギーでの苦悩の日々を経て、オーストリア1部に流れ着いた。「あいつはもう終わった」などと囁かれる中、努力を積み重ねてきた。
2022-2023シーズン、オーストリア1部リーグで、31試合14得点4アシストを記録し、大ブレイク。一躍、欧州における注目株に躍り出た。リヴァプールからのオファーも報じられる中、リーグアンのスタッドランスへの加入を決めた。
Embed from Getty Images2023-2024シーズン、主に左WGとして出場機会を掴み、右WGの伊東純也と両翼を形成した。25試合に出場して、4得点1アシストを記録した。
日本代表では、左WGのレギュラー三苫薫 (ブライトン) を脅かす存在として、名乗りを上げた。三苫とはタイプが異なるため、戦術に応じて使い分けも可能だろう。
本記事では中村敬斗のプレースタイルや経歴を解説していく。
プロフィール
Embed from Getty Images- 所属クラブ:スタッドランス
- 氏名:中村敬斗
- 生年月日:2000年7月28日 (23歳)
- 身長 / 体重:181cm/75kg
- 出身地:千葉県我孫子市
- 利き足:右利き
- 結婚:未婚
経歴
Embed from Getty Images年度 | クラブ | 成績 |
---|---|---|
18 | G大阪 (JPN) | 17試合1G |
19 | G大阪 (JPN) | 7試合0G |
19-20 | FCトゥウェンテ (NL) | 17試合4G |
20-21 | S・トロイデン (BE) | 5試合1G |
20-21 | FCジュニアーズ (AT) | 9試合2G |
21-22 | FCジュニアーズ (AT) | 5試合3G |
21-22 | LASKリンツ (AT) | 22試合6G |
22-23 | LASKリンツ (AT) | 31試合14G |
23-24 | LASKリンツ (AT) | 1試合0G |
23-24 | スタッド・ランス (FR) | 25試合4G |
プレースタイル
ゴール前の決定力
Embed from Getty Images中村敬斗は、ゴール前の決定力が抜群に高い選手だ。PA内でシュート機会を得れば、高い確率で得点することが可能である。
得意な位置は、ゴール前左斜め45度だろう。中村自身も、「左サイドでボールを持ってからの仕掛けは、自分の得意の形です。」と語る。左サイドでボールを受け、相手に向かってドリブルを仕掛ける。一瞬の加速で相手のマークを外すと、中に切り込み、ファー上のコースへ美しいシュートを流し込む。
ボールをミートする技術がとても高く、狙ったコースに正確かつ強いシュートを蹴りこむことが可能。シュートをふかす場面が滅多にみられない。
得点パターンが豊富であることにも触れておきたい。縦に仕掛けて左足でシュート、ゴール前に飛び込みワンタッチシュート、ヘディングでのゴールなどから得点も狙える。
キレ味抜群のドリブル突破
Embed from Getty Imagesシュート技術が取り沙汰される一方、切味抜群のドリブル突破も見逃せない。WGの選手としては特別スピードがあるわけではない。緩急とボディフェイクを駆使したシンプルなドリブルを好む印象だ。
左サイドのタッチライン際でボールを受け取ると、相手SBに正対した状態でドリブルを開始する。最も得意な形は、中央へのカットインだ。
スタッドランス移籍後は、中へ切り込むプレーに加えて、縦へ突破するドリブルの習得にも挑戦した。中村は、「持ったら仕掛けるというのはフランスリーグで磨かれた。簡単な1年じゃなかった。ウイングとして生き残るには中に入るだけじゃダメ。タイミングを見て縦に行く回数を増やしていた」と語っていた。
その取り組みが、明確な成果として現れた試合がある。2024.6.11 W杯2次予選 シリア戦、左WBのポジションで先発した。前半13分、MF 南野拓実 (ASモナコ) から左サイドでパスを受けると、迷わず縦突破を仕掛けた。シザースから一気に急加速し、左足のピンポイントクロスからFW 上田綺世 (フェイエノールト) のヘディングゴールをお膳立てした。
ドリブル中の視野の広さも特徴的だ。ボールを扱う技術が抜群に高いため、ドリブル時に頻繁に顔を上げて周りの状況を確認することが可能で、味方選手の動き出しを見逃さない。自分で仕掛けるよりもパスの方がチャンスだと判断すれば、冷静にパスを選択する。
献身的な守備
Embed from Getty Images攻撃面のクオリティの高さは勿論、献身的な守備でチームを助ける働きも見せる。前線からのハイプレス、自陣深くまでのプレスバック、セカンドボールの回収など、基本的な守備のタスクを怠らない。自身がボールを失った際には、素早い切り替えで、ボールを奪いに行く意識も高い。
G大阪時代には、当時監督の宮本恒靖 (現日本サッカー協会会長) から「走れない、守れない、戦えない」と酷評され、G大阪U-23でのプレーを命じられたこともある。欧州の舞台で揉まれる中で、献身性を身に着け、守備でも貢献できる選手へと変貌を遂げた。
代表歴
Embed from Getty Images中村敬斗は、世代別日本代表の常連メンバーとして活動し、エリート街道を歩んできた選手だ。
2017年は、三菱養和SCに所属していた中村は、U-17W杯に出場した。一次リーグのホンジュラス戦でハットトリックを含めて、合計4得点を記録する大活躍を見せた。チームはベスト16で敗退するも、中村自身は評価を大きく高めた。この大会での活躍が高く評価され、高校3年生の時にG大阪と契約を結んだ。
2020年は、U-20W杯のメンバーに滑り込みで選出された。スーパーサブとして全4試合に出場するも、無得点に終わった。チームはベスト16で敗退している。
Embed from Getty ImagesLASKリンツで31試合14得点と大ブレイクを果たした中村は、2024年3月15日、キリンチャレンジカップに臨む日本代表メンバーに選出された。以降、代表メンバーとして定着し、2023年にはAFCアジアカップにも出場した。これまでA代表通算10試合8得点という驚異的な得点力を発揮している。
年度 | 年代 | 主な活動 |
---|---|---|
'15 | U-16 | AFC U-16選手権予選 |
'16 | U-17 | AFC U-16選手権 |
'17 | U-18 | U-17W杯 国際ユースサッカーin新潟 |
'18 | U-19 | ブラジル遠征 |
'19 | U-20 | U-20ワールドカップ |
'23~ | A代表 | AFCアジアカップ2023 10試合8得点 |
まとめ
今回は日本代表FW、スタッドランスに所属する中村敬斗のプレースタイルなどを紹介した。
リーグアン1年目で25試合4得点と及第点の成績を残し、2024-2025シーズンでの更なる飛躍が期待される。縦突破という新たな武器の習得に挑戦し、プレーの幅を広げている。日本代表では、三苫薫とのポジション争いの行方に注目が集まる。
最後までご覧いただきありがとうございました。